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歪んだパズルのつなげ方

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天使とダンス

天使とダンス 第七話「手にした翼は」

 
第七話「手にした翼は」

「これでお空とべるのかな?」

《Yes, of course. Is the presence of for that, I my lord》

 インフィニティの呟きに、髪飾りのクリスタルが明滅して答える。
 びくびくっと完全に腰が引けた体勢で周りを警戒するインフィニティだが、直ぐにも声の主が髪飾りしか居ないと悟り、なーんだびっくりしたと安堵の息を漏らすと、髪飾りは厳かに言葉を継ぎ足す。

《Even broken though...until I break, I will continue to fly and my lord》

 よどみなく流暢に答える様に、デバイスに少しでも詳しいものなら、彼女がインテリジェントデバイスなのだということがすぐに予想がついただろう。
 上品で聞き取りやすく知性有る口調は、そのまま彼女の性能や完成度の高さを示し。
 気高さすら感じさせる抑揚の聞いた声や、インフィニティに向けた誓いの言葉が、彼女の製作者か教育者の熱意と愛情を示していた。

《Please call my name by that》

「名前、知らないんだよ、ごめんね」

 空を飛ぶための何かが、まさか物言うクリスタルだなどとは全くの予想外で。
 そもそもが自分がデバイスを使うことが有る、などと考えたこともなかった為に、これはインフィニティに取って完全に想定外の事態。
 それも当然だろう、何しろ彼女は自らが魔法を行使するための魔力すらまともに捻出できないのだ。インテリジェントデバイスに供給出来るだけの魔力の余裕など、何処をひっくり返しても有りはしない。

《No, my lord. The name honors the first received from you. And I want to have it, we ask》

 だから、デバイスがどれほど高性能を誇ろうと、どんなに完成度が高かろうと。
 彼女がマスターである限り、それは『空をとべるはずの物』で……永遠に『空をとぶことが出来ない物』でしか無い。
 それでもインフィニティは、デバイスの言葉を信じ欠片も疑わずに、うんっ!と笑顔で元気よく頷く。

「私を、虹の彼方へ連れて行って『ブルームーン』」

《Yes, my lord》

 長く後に曳かれたツインテールの金髪と、長く靡く青空色のリボン。
 音もなく静止状態からの垂直急上昇、右腕が動かないことで上手く取れないバランスも既に演算修正済みなのか、体も進路もブレること無く真っ直ぐに雲を抜けふわりと空の一点で止まる。

《I put a limiter in this one for a while. The up to safety altitude dive and to get used to, use of full drive Is that what you want protected?》

 うんっ!と元気いっぱいに頷き返す仕草も声も、見ている者がそれだけで幸せになるほど弾んでおり

「お空に飛んでるっ!地面があんなに遠いよ!」

 そう言うなり頭を下にして垂直に降下、体を捻りスカートの裾をはためかせながら、速度を落とさずそのまま水平飛行へ。
 更にそこから急角度でスナップアップ、曲線のままに大ループを描き、円の頂点に達した所で身体を捻りこみ、リボンの先からヴェイパートレイルを引きながら、逆向きにもう一つ楕円を宙に描く。

 楽しげな笑い声と、底抜けに明るい笑顔。

 それは無邪気な興奮と無償の信頼

 青紫の瞳に映り込む、青空に曳かれた純白のリボン。

 だが次第に目の端には透明な雫が浮き上がり、笑い声が鼻をすする声へと変わり、遂には大声で泣き声を上げる。
 それでも宙に描かれる白のリボンは、美しく無限に軸を同じにした8の字を描き続け……それが一輪のロータスになるまで描ききると、インフィニティはゆっくりと地に降り立ち、そのまま立っていられずに膝を抱えて座り込む。

《...my lord》

 控え見に掛けられた声に、膝に額を当てたまま頷き返し、それでもインフィニティは顔を上げられない。

 飛行が怖くなったのではない、と言う事は理解できた。

 とても初めて単独飛行を行ったとは思えないシフトウェイト。
 四肢の一つが動かないことを忘れさせるほどの、芸術的な姿勢制御。
 まるで、飛び方を思い出しながら一つ一つ確認していくように、鋭さを増していく飛行曲線。

 ブルームーンが当初想定していたフォローを何一つさせずに、インフィニティは熟練の空戦魔導師の様に大空を羽ばたいた。
 どころか、旋回運動中のローリングや、急降下から無制動での伸身急上昇など……
 どう考えても『敵からの攻撃を想定した回避運動』を、体に染み付いたかのように無意識に行うさまは、ぎこちなさの代わりに違和感を覚える。
 ブルームーンはインフィニティの動きから、そこまでは読み取った。

 だというのに、そこまで高性能で高度な思考プロセスを踏める彼女でさえも、インフィニティの涙の訳や行動の意味は何一つ読み取ることは出来なかった。
 それでも、ただ黙ってインフィニティが心の整理をし終えるまで、ゆっくりと明滅を繰り返す様は、インフィニティを護る様に支えるように、優しく背を撫でる手を思わせる。
 泣き声を押し殺し、インフィニティは小さく「ありがとう」と声を漏らすと、再び涙を流し膝を抱える手に力を込め、小さな身体を一層縮こまらせ泣いた。



 じくじくと応急で塞いでいただけの肩口の傷から流れ出した血液を、たっぷりと吸い込んだ服が濡れた音を立てる頃、インフィニティはようやく顔を上げ……眼の前に差し伸べられた手を見つける。

 頭痛で重い頭を更に上げ、相手がそっぽを向いていること、差し出した手に綺麗に折りたたまれたハンカチが乗っていることを遅れて理解する。

「……次から、一人で何処かにいったりしないで。チンクもウェンディも、心配していたから。
 初めて飛んだ時、脚に力が入りすぎて歩けなくなるのは、良くあること」

 静かに雪が降る音の様なルーテシアの声に、冷たさでも寂しさでもなく暖かさを感じ
 インフィニティは勢い良く抱きついて、そのまま押し倒しかけるが
 ルーテシアの背を黒く力強い手が支え、斜めの姿勢のままルーテシアが涙でぐしゃぐしゃのインフィニティの目を真っ直ぐに見つめる。

「涙と鼻水でべたべたになるから、抱きつかれる前にハンカチ渡そうとしたのに……
 でも良い、怒ってないから、腕の力少しゆるめてインフ、ちょっと痛い」

 ルーテシアに言われ、素直に従ってしまうインフィニティ。
 左腕一本で抱きついていたというよりは、しがみついていたのを解いてルーテシアの体の上に乗っかるように身を任せ、見るからにぐったりとしているのも当然。
 大量の出血に朦朧とした意識でそんな不安定な体勢を保てるはずがなく、転がり落ちるのも――また必然。

 それを細く白い腕で真正面から抱きとめ、治癒魔法をかけながら、小さな手で優しく寝かしつけるように背を叩くルーテシアの口元には、本人も気付いていないが淡い笑みが浮かんでいる。

「家を飛び出して行った時に、待ってって言ったのも聞こえてなかったみたいだし。
 インフが私を困らせるのは態とじゃないの、解ってるから」

 でも……悪いことをしたときは、その場でお仕置きしないと覚えないって、本で読んだ覚えがある。

 残念なことに、ルーテシアはそれが『子犬のしつけ方』と言う題であったことまでは思い出せず。
 だというのに、そのしつけ方の具体的な方法は印象的だったためか、はっきりと覚えていた。
 ちょうど良いことに?力を抜いたインフィニティは、ルーテシアの肩に顔を押し付けるようにして未だにぐずっており

 可愛らしく首を傾げるようにして

 小さな唇を舌で無意識にそっと舐めてから

 ルーテシアは、眼の前に有るインフィニティの……首筋に噛み付いた。

 ☆ ☆ ☆

 左右に首を振って二人の人物を確認。

 どちらもが別段忙しくはなさそうだと判断したインフィニティは、迷わず片方へと声をかける。

「ちー姉、バインドブレイクってどーやるの?」

 午後の日課である魔法訓練の休憩時間、以前であれば今頃はルーテシアの膝枕で軽く一眠りしていたところだが、あの日以来インフィニティはルーテシアから、一定以上の距離をとるようになった。
 正しくルーテシアの予定通り、ちゃんと躾けられたのだが、ルーテシアの予定とは違い、本に書いてあった通りにインフィニティは、子犬と同じに躾けられてしまった。

 結果、ルーテシアを自分より上に格付けし
 言うまでもないことだが、膝枕のようなスキンシップなど論外で
 どころか、それまでのようには話さなくなってしまった。

 そのせいで、今までルーテシアに話しかけていた大部分を、チンクへと話しかけるということになり
 チンクはチンクで、子犬のように懐いてくる新しい妹が可愛くてしょうがなく。
 インフィニティを連れて行く事を、スカリエッティに『まだ早い』と一蹴され、ウェンディが泣く泣く翌日一人で帰ったこともあり、誰に憚ることなく構い倒しているという現状。

 ちなみに、ルーテシアに話しかけていた残りは、ガリューに話すように成っているため、実質最近ではインフィニティとルーテシアの間での会話が無い。
 これはインフィニティがルーテシアに、いじわるや仕返しをしているわけではなく、昔研究所で研究者に『どうして欠陥なしで生んでくれなかったのか?』と尋ねた時に、殺されかけた事と同列にインフィニティの中では取り扱われ。

 単純に『ルーテシアにベタベタしてはいけない』と、間違った学習をした結果なのだが

 学習した場に居なかったチンクは、もとより気づけるはずもなく、まぁ子供の喧嘩ならそのうち和解するだろうと、下手に口出しせず見て見ぬふりをし
 学習したことが間違っている、とは思ってもいないインフィニティも、本人的にはちゃんとルールを守っているつもりなわけで
 学習させてしまった張本人であるルーテシアも、無言で自分に向けられるインフィニティからの、『えらいでしょ?褒めて褒めて』オーラに文句を言えないという奇妙な三竦み状態。

「簡単に言ってしまえば、魔法の破壊方法は二種類に分けられる。
 魔法そのものの強度を上回るエネルギーを与えるか、構造を分解するかだ」

 言ってからインフィニティの反応がないことで胸の前で腕を組み、何かを思いついたのか一つ頷いて再び口を開く。

「アイスの入ったカップの底に、スプーンを触れさせるにはどうすればいいか判るかインフ?」

「がんばって押す!」

 予想通りの素直な答えに、チンクは笑顔で頷いてやると、よしよしと眼の前に有る小さな頭を撫でつける。
 どこかくすぐったそうに撫でられながら、ひよこ色の二房の髪がフワフワと揺れる様を、ルーテシアが変わらぬ無表情で見つめているが
 チンクはあえて気付かぬふりをし、意地っ張りな彼女の妹を思い浮かべ小さく苦笑いを噛み殺す。

「正解だ。アイスより強い力で押し切ってしまう方法と、もう一つはアイスを温めて緩くしてしまえばいい。
 バインドにかぎらず、基本的に『ブレイク』系と呼ばれるのはこの二種類の方法だ。
 何故なら魔法の強さは、一般的に其処に込められる魔力量と、術式の強度で決まるからな」

 アイスを温めたらもったいないよー、というインフィニティの抗議の声に。
 笑顔を深めながら、頭を撫でる手を止めずに、そうだなと頷いて返す。

 チンクは魔法の基礎とも言える内容まで丁寧に掘り下げて、わかりやすいように砕いて説明する。
 何故なら、インフィニティは一見感覚的に魔法を行使しているように見えるが実際はそうではなく
 全てがインフィニティの頭の中で精密に計算され、『まるで感覚的に使っているように見える』ほど、高速での演算に基づいている事を、ドクターが送り付けてきた『オモチャ』との戦闘で見逃さなかった。

 故に、細かい部分までは一々全部の説明をしない。
 レアスキルやデバイスの補助に、魔力集束などの技能を絡めた全てのパターンを網羅して、などということは現実的ではなく。
 基本を理解させることで、インフィニティの中に基礎公式を彼女自身に作らせ、変数を状況に合わせて演算調整出来るようにすれば

 インフは勝手に全ての状況に、最適解を導き出すからな。

 どこか誇らしげに、自称?『欠陥品』である妹を撫でくり回し
 遂には無意識の内に腕の中に閉じ込めてしまいそうになり、慌てて咳払いを一つ。

「しかし、急にどうした。
 昨日までは砲撃魔法以外の練習に、全く興味を持たなかったというのに」

「攻撃が直撃したら墜落しちゃうし、墜落したら高さと速度によるけど死んじゃうから
 まず直撃されないように、バインド対策しなきゃダメでしょ?
 術式を分解する方なら一瞬だし、魔力もいっぱい要らないから丁度いい」

 自身の魔法特性が、弾道制御と魔力集束による大威力砲撃という、どちらも持続的に魔力を消費する魔法。
 即ち、インフィニティには『使えない』代物であるにもかかわらず、昨日まではなんとかそれを使おうと訓練していたのだが
 言うまでもなく、訓練してできることと出来ないことが有り。

 効率的な魔力運用は以前より出来るようには成っているものの、保有魔力量も魔力生成量も訓練ではどうすることも出来ない類のものだけに
 はっきり言って、どれだけ訓練しようが砲撃魔法に関しては、するだけ無駄。
 チンクに拾われた時点から、インフィニティの砲撃魔導師としての実力は、何ら変わっていないのが現実。

 自分の魔法によるものではないもの――飛べるようになった今
 まずは小手先の技のような、それでいて命に直結する魔法を覚えようと意識が変わったことは
 インフィニティに取っては大きな一歩であり、チンクにしても喜ばしい妹の変化である。

 肉体的な力も、魔力量的な意味でも、力尽くでバインドを破ることはインフィニティには無理だろう。
 そう考えれば、自ずと『術式の分解』という方法以外の選択肢はなく、それを本人が目をそらさずちゃんと真正面から受け止めている事が、実直なチンクには何よりも誇らしくあった。
 当然だが、『術式の分解』は力任せのブレイクよりも習得は難しい、言ってしまえば力任せのブレイクは、高い魔力出力と充分な魔力量があれば、誰にでもできる代物だ。

 しかし、『術式の分解』と言う方法は、術式を解析しウイークポイントを一点で見ぬく必要があり、経験とセンス……何より繰り返しの訓練がその精度とはやさを高める。
 だがチンクはインフィニティの態度から、その方面に関しての不安は何も感じなかった。

 以前のインフィニティであれば、バインドなんて避ければいいもの、とそう思っていただろう。
 突然こんなことを言い出した事には、当然だが訳がある。
 ……それもかなりわかりやすい。

 実はつい先日、チンクとルーテシアの二人から、空戦の禁止を言い渡されたのだ。

 空を飛ぶのは移動手段としてだけ、戦闘状態になった時に空をとぶことは禁止、理由はインフィニティがチンクに語った通りである。
 そして反論も、全部避けるから平気だもん!という、二人が予想した通りのもので……
 実際に、言うだけは有って二対一の模擬戦で、インフィニティは二人の攻撃をかなり小器用に避けはしたが

 攻撃手段の無いインフィニティは、代わりに設定された勝利条件である『二人に手の平で触れる』為に、弾幕を掻い潜って猛スピードで突っ込んできた所を、設置式のバインドであっさり絡め取られ

 泣く泣く――比喩ではなく、本当にポロポロ涙を流しながら――先の条件を呑まされてしまった。

 言うまでもないことだが、チンクの攻撃は非殺傷設定などという便利な事が出来ない。
 むしろ、怪我をさせないで捕まえるという、明らかにチンク向きではないどころか、最も苦手な分野であるとも言えるミッション。
 攻撃するというよりは、当てないように気を使っており、ほとんどがルーテシアのサポートに徹した動きで、攻撃というよりははっきり言って演出効果に近い。

 ルーテシアはルーテシアで、やっていいのなら大量のインセクトを召喚して、避ける隙間もないほどにフィールドを埋め尽くしてしまうとか
 容赦なくガリューをけしかけて、超高速で背後を取りそのまま捕まえてしまうというような、有無をいわさぬ勝ち方を避けての模擬戦。

 二人がかりでインフィニティに苦戦した訳ではなく、むしろ怪我をさせずにインフィニティを納得させる為に、難易度が跳ね上がり神経をすり減らすことになった。
 
 そんなわけで、インフィニティはバインドブレイクを覚えれば、二人を納得させられるとの考えに至り
 チンクは、そうなってくれるように仕向けていたのを悟られぬよう、態と驚いてみせたのだが
 妙なところで素直で子供っぽいインフィニティは、そんなチンクの演技には気づかず、練習練習と手を引いてチンクを急かした。

 取り敢えずは一番基本で避けにくいリングバインドから、と言葉と共に発生した光の輪に思わず反射的に避けそうになるのを態と捕まって締め付けられながら、じたばたぐねぐねとひと通り納得するまで暴れてみて、腕力で抜け出すのは無理だと頭だけでなく身体で理解する。
 暴れるのをやめ、呼吸を整えてから、意識を集中してリングバインドを凝視し
 魔法の構成を読み解き、起点となる一点に瞬間的に魔力を集中して……人生初のバインドブレイクを成功させた。
 拘束から開放され、飛び跳ねて喜ぶインフィニティの姿に、チンクの頬は緩み、ルーテシアの視線が冷たさを増す。

 異変は次の瞬間に起こった。
 インフィニティの体の周りに、一瞬にして五つもの光の輪が発生する
 リングバインドではなく、その発展応用魔法であるフープバインド。

 それが、発生と同時に、小さな欠片へと砕け散った。

 一体何が起こったのか、直ぐには理解できなかったチンクだったが。

《It is superb, my lord》

 静かな賞賛の声が、インフィニティの頭の上の方から聞こえるに至り、理解した。
 いや、正確にはそれ以外ないと、逆算から出た答えを正解として、自分を納得させた。

 自分ではない誰かが、不意打ちでフープバインドをインフィニティに仕掛け

 インフィニティはそれが発生し、光の輪を形なすと同時に、術式を破壊した。

 もしかしたら、光の輪が構築される前に、術式は破壊されていたのかもしれないが、それが判別できないほど、仕掛けられたバインドの発生は速く。
 それ以上に、対応したインフィニティのブレイクは速く……魔法は魔力光の発生と同時に、魔力粒子へと流れるように分解された。
 
 リングやフープバインドは発生が早く、通常視認してからの回避は不可能だと言われている
 それが拘束前に回避どころか分解されたのだ、人間の反射速度どころか、デバイスの反射速度をも超えている。
 あり得ないことが起こったのだ、その事実の前には分解されたのが構築前か後かなど、どちらであろうが些細な誤差にすぎない。

 そんな、規格外なことが引き起こされたのだ
 キラキラと舞い散る魔力粒子の中心で、自分を取り囲むように円を描き
 花火のように儚く消えていく、紫の魔力光にライトアップされたインフィニティに

 無邪気に笑いながら両腕を広げ、くるくるとその場で回る。

 まるで光の粒子を振りまきながら翔ぶティンカーベルの様に

 くるくると回りながら、次々と光の輪を粒子に変えて生み出し続けるさまは、幻想的な美しさでチンクの目を捉えたが
 バインドの主にとっては、伸ばしたてをすり抜けてひらひらと目の前で舞い続ける蝶のよう
 再びフープバインドが形成されると同時に粒子になって砕けた瞬間、インフィニティの回転が止まる。

 左右の足元から伸びた鎖によって、その四肢を幾重にも絡めとられて
 
「やっぱり飛んじゃダメ。
 今、なんのために練習しているのかを、すっかり忘れて遊んでいたでしょインフ」

 ルーテシアがそう声を掛けた時に、インフィニティを縛る鎖は砕ける。
 実質は、不意打ちで仕掛けられ、一秒にも充たずに術式を解析し分解までしてのけた、と言うのはブレイク系の術者としては驚異的とまでは言わないが、かなり優秀な方である。
 それが、さあこれから練習して使いこなすぞ!と先程練習を始めたばかりの者であると知れば、十人が十人胡散臭さや、疑いを表情に表すはずだ
 ましてやそれがフープバインドを囮とし、今まで使われなかったチェーンバインドを不意打ちで仕掛けられた事を思えば、一瞬のタイムラグなど有って当然、いや無ければ異常。

 しかし、その結果を以ってルーテシアは空戦の禁止を告げ、チンクもそれについて異論を挟まない。
 ほんの一瞬の足止めが、たった一発の流れ弾が、いとも容易くインフィニティをノックダウンさせる

 それが命に直結する以上、たとえどれ程ブレイク系を習得しようと

 それがバケモノの様な有り得ないほどの速度で、なされようとも

 許可など……出来るはずがないのだ。

 2013.08.18

☆☆☆☆☆

デバイスの台詞?は機械翻訳をちょっと手直しして流用しているので
誤訳、手直し不足、手直しした結果意味が変わってるetc有るかもしれませんが
そこはなんとなく雰囲気を楽しんでもらえればと思い、日本語訳はのせてません。

2013.08.22


   

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